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50センチの距離
第29章 年越し蕎麦 ーコウスケとの関係ー
落ち込んでる俺を、励まして支えてくれたのもコウスケだ。
その時、店の後輩の里見も、仕事に慣れない頃、俺がアレコレフォローしたりしてたのもあって、涼子はヒドい、俺にはもっといいオンナがいるはずだ、なんて付き合って励ましてくれて。
その縁で2人は付き合い出した。

涼子は仕事は出来たから、ホールスタッフの中でも一部の人間しか出来ない仕分け(※)が出来た。涼子の声を聞いたり顔を見る機会は多くて、最初はギクシャクしたけど、徐々に吹っ切れて、ただの同僚に戻っていく。
涼子のコトをやっと意識しなくなった頃、突然涼子は店を辞めた。どうせ消えるならもっと早い段階で居なくなってくれればラクだったのに、しっかりガッツリ爪痕残して消えるあたり、ヤなオンナだったな、ホント…と涼子とのことがすっかり過去形になり、こんな面倒くさいなら職場恋愛なんてするもんじゃないな、と懲りた。

俺はその後も店で働いたが、30を目前にオーナーが代替わりして店の方針がすっかり変わったのをきっかけに、俺も里見も、他数人のスタッフと一緒に店を離れた。で、コウスケのツテでアイツの叔父さんの持ち物である、今の店を借りることができてる。

つまり…俺にとってコウスケは…こんなこと言うのも恥ずかしいけど、唯一無二の親友だったり、する…。



(※ 仕分け…ホールと厨房の連絡係。オーダーを厨房に通したり、出来上がった料理をどのテーブルに運ぶかの指示を与える。調理、飲食両方の進捗を確認して調整する必要がある、難しい仕事)
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