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50センチの距離
第4章 カシスオレンジ
そっちは色味もさっきのほど茶色くなくて、フツーのビールみたいな色。ビールと違うのは泡の層がないことくらい。色の濃いジンジャーエールって感じ。

そっちを呑むと、ほのかな甘みでビールの苦味が調和されて、すごく呑みやすい!

「美味しい!」

「野田さんは普段から甘めのよく呑んでるから、コッチのが合うでしょう。」

そう言って、最初にくれた茶色い辛口のグラスを引いてしまう。

「コレはオレが呑むわ。」

私の飲みかけのグラスに口をつけ、クッと一気に呷る。

男っぽい、しっかりとした喉仏がグッグッと上下して、ほぼ一気に飲み干してしまった。

あんなに辛く呑み難く感じたのに。
そんなのも平気で呑めてしまう。
それは、あのヒトも同じで。
好みが似てるのかな。
だから、好きなのかな。

私なんて、高塚さんからしたら、甘いお酒しか呑めないくせに、独り呑みなんて調子乗ってるただの子供なんだろうな。

それ以前に、ただのマスターとお客で。

きっと、ただそれだけの存在で…

シャンディガフなんて、頼むんじゃなかった…
一気に惨めになって、早めにお会計を済ませて店を出た。



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