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50センチの距離
第32章 カニすき
「あの、今晩泊めて頂けるのは、その、とても有り難いんですが…泊まる準備も何もなくて…」

「あら、そうね…化粧品?私のとかクミちゃんのも少し貸してもらえる?合わないかしら…」

「あ、いえ、コンビニとかでいいので、場所教えて頂ければ…」

「あ、そう、コンビニ…遠いわね。歩いてだと10分は掛かるけど…」

「明るい大通りだと15分だよ」

お兄さんがぼそっと呟く。

「彰、一緒に…」

「え?」

「あ、いえ、結構です!お借り、できますか…?」

高塚さんの反応がちょっと怖くて付いてきてって言えなかった。
そしたら

「俺行くよ。ちょうどアイス食いたいと思ってたから!クミも一緒に行こ?」

と弟さんが軽く手を挙げて言ってくれた。

「…別に、いいけど…」

「じゃ、そゆことで。オカン、ヒロとユウ、風呂入れといて。ヨロシク!」

「はいはい。」

「じゃ、野田サン、行こっか?」

「あ、は、ハィ…」

半ば急き立てられるように、3人で席を立つ。

「隆!」

部屋を出かけた私たちを、お兄さんが呼び止める。

「ナニ?」

「俺 チョコアイス。カップのやつ。」

「…了解。」

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