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50センチの距離
第32章 カニすき
「そうなの? でも、ショウお兄さんもイヤではないと思うよ。あのヒト割とハッキリ言うから、迷惑だったらもっと早い段階で、何しに来た、くらい言うと思う。」

「…似たようなことは…言われた、ような…?」

店内だから声のボリュームは下げて、でも会話は続く。

「いやいや、あれは何で居ンの?っていう純粋な戸惑いだよ。たぶん。なんか食べるもん作ってる時も楽しそうだったし。」

「…そ、そう、なん、ですか…?」

お泊まりセットのミニパックの化粧品を手に取り、棚の間を移動する。サイズだけパッと見てショーツを取り、サッサとレジに向かう。お会計を済ませて店を出ると、弟さんの姿がない。アレ、と思ったら奥さんが店内を指差した。
あ、まだ何か買ってるのか…

「野田サンてさ、歳聞いてもいい?」

「今年、24になります…」

「若ッ…ショウお兄さんと10個違いになるんだ…オッサンとは思わないワケ?」

「…全然…」

「そっか…でもね、あくまで私の見解だけど。オトコは若いコ好きだし、若いコに好かれたいと思ってる、と思う。」

「…そう、でしょうか…ただの子供だと思われてるんじゃないかって思うと…中々踏み込めなくて…」
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