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50センチの距離
第33章 コンビニ カフェラテ
20分ほど走って、車が駅前に着く。
私と高塚さんが車を降りると、スライドドアを閉めながら、

「じゃあね!」

と運転席から手を振ってくれる。

「ありがとうございました!」
「サンキュー、助かった。」

私は頭を下げて、高塚さんは軽く手を挙げて、口々にお礼を言う。
車が走り出し、駅前に2人残された。
何となく構内へ向かって歩きながら、何か喋らないと、と口を開きかけたとき、

「…野田さん、もう一度聞いてもいいかな。…何で綾部に来たのか…」

「え?」

「昨夜、鍋食いながら、予定ないのに来たって言ってたろ。アレの意味をずっと考えてたんだ。大した観光地でもない。全く何も無いわけじゃないけど、敢えて正月に来るイベントはないトコだし。近隣の福知山やら舞鶴のが観光スポット多いし。なんで綾部だったのか…外してたらちょっとアレなんだけど…俺に会いに来た…とか、じゃ、ない、よね…」

昨夜の、クミさんの言葉が脳裏をよぎる。
『機会があったら言っちゃいな‼︎」
というあの言葉が、後押ししてくれる。

「高塚さんに、会いたくて。会えたらいいな、って思って、来ちゃいました。」

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