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50センチの距離
第35章 ロゼワイン スパークリング
「か、帰さない…って…」

「そのままの意味だけど。オンブラージュは店だけど、俺の家でもあるコトはもう知ってるでしょ。デートの後オトコのウチに来た彼女を何もせずにそのまま帰すと思う?」

「…………」

真っ赤になって俯いた私に、

「千束が選んで。初デートらしく、家まで送らせるのか、俺ン家に来てオトナのデートにするのか。」

「高塚さん、は…?」

「俺? 俺の希望なんかひとつに決まってんだろ。俺がどれだけ千束に惚れてるか、朝までじっくり教えてあげたいよ。でも、無理強いはしたくないから、主導権は千束に委ねる。」


朝までじっくり…それは、きっと、あの夢が正夢になる、てことで…私は…その為に下着を新調してきた、と言っても過言じゃなくて…でも、こんな風に二択を迫られると、どうしたらいいのか迷う。
でも、ココでそうやって宣言して選ばせてくれるのもきっと、高塚さんの優しさ。
オンブラージュでナポリタンを食べたい、と我儘を言った私に対して、フツーにOKだして、ご馳走さまと帰ろうとしたところで、え?オトコのウチに来たんだからそういう覚悟は出来てるってコトだろ?ていうのが一般的な流れなのかも。

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