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第35章 ロゼワイン スパークリング

オンブラージュについて、高塚さんは鍵を開けることなく、裏手に回る。
ポケットからキーケースを出すと、鍵を1本選んで勝手口を開けた。

「暗いから気をつけて。」

勝手口を入ったところが厨房で、そこからすぐカウンターの中に出る造りになってる。
すぐに照明を点けてくれた。普段の営業時よりは照明を落としてあるから薄暗い。

厨房とカウンターの中は普通に、客席はダウンライトを点けずに客席の上に吊り下げてあるペンダントライトのみが２つ点いてた。スポットライトと言うほど周りは暗くはないけど、カウンターの照明を消したらそんな感じかも。
カウンターの中を通って客席のスポットライトの中に収まるように座る。

高塚さんは冷蔵庫と冷凍庫を開け、支度をし出した。

「いつもランチはある程度下ごしらえしてるから、今日はちょっとそれより時間かかるよ？」

「はい。ワガママ言ってごめんなさい。」

「かわいい彼女のお願いだからしょうがないよね。」

と悪戯っぽく笑う。
かわいい彼女、という表現がくすぐったかった。