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50センチの距離
第35章 ロゼワイン スパークリング
2人並んでカウンターに座り、乾杯。

ワイングラスをぶつけるのはマナー違反、と聞いたことがあるから躊躇っていたら、高塚さんから触れるか触れないか、くらいそっとグラスを寄せてくれる。チン、と軽い音がした。

「あ、いただきます…」

「どうぞ。」

高塚さんはワインをひと口飲み、

「甘…」

と眉間に皺を寄せた。

「美味しい…」

「うん、千束好みだな。俺には甘すぎる。けど、自分が飲まない甘口の酒増やそうとして頑張ってるの、健気だろ?俺。」

「え、私の為?」

「メニュー見て、何飲もうかなぁ、ってキラキラしてる目が見たくて。千束の美味しい顔と楽しみな顔。アレにやられたんだよ。」

「…子供っぽいと思ってた…」

「それが可愛いくていいの。」

いつも、背伸びしようと頑張って、上手くいかなくてくて落ち込む、その繰り返し。だけど、そのままの私がいいと言ってくれる、そんな人を好きになれて、本当に嬉しかった。


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