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50センチの距離
第35章 ロゼワイン スパークリング
さて、と立ち上がって、食器類をひいてしまう。

「後片付け…」

「明日でいい。上に行こう。」

促され、カウンターの内側に回る。
勝手口をしっかり施錠して、客席のライト、厨房の照明を消すと一気に暗くなる。

スタッフオンリーのプレートが下がった2階へと続く階段。
その扉を開けると、人感センサーらしい、ペンダントライトがふっと灯る。

それが点いたのを確認してカウンターの照明を消す。
店舗部分は真っ暗な闇と化した。
階段を1段ずつあがり、上がりきったところに、外に敷くタイプの玄関マットがあるからそこで靴を脱ぐ。

部屋に続く引き戸を開けると、年末にもお邪魔した高塚さんの部屋…

「基本人を呼ぶ作りじゃないから、スリッパも何もなくて…ごめんね。」

「いえ…」

高塚さんは暖房を入れ、手に持ったダウンジャケットをハンガーに掛けた。私はカーディガンでコートなしだから、大丈夫です、と言ってそのまま勧められるままにベッドに腰掛ける。

ソファとかも、ないもんね…緊張する…




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