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50センチの距離
第38章 ホタルイカのペペロンチーノ
「ふぅん…長い時間待たせてゴメンな。寂しかったろ。」

「…んー。大丈夫だよ。」

「…あ、そう…」

てっきり、寂しかったぁ〜!って甘えてくると思ってたから肩透かしを食らって、ふーん、と明後日の方を向く。

「…寂しがってると思った? だって、ココは高塚さんの部屋だもん。高塚さんのものがあって、高塚さんのにおいがして。ココで待ってれば高塚さんが上がってくるんだもん。ドアと廊下挟んで姿が見えなくても、側にいるんだもん。全然寂しくなんかないよ。付き合う前、片想いの時、店から出て独りで部屋まで帰る道のがずっと寂しかった。誰もいないマンションに帰って、暗い部屋に電気つけて。TV付けないと音一つ聞こえない空間で独り過ごす方が、ずーっと寂しいよ。」

ダメだ、チカの応えが可愛すぎて、顔がニヤける…

「…ま、そりゃそうだな…俺だって、チカを見送って、直前まで客とワイワイやってて、店閉めた瞬間独りになって、疲れてるから寂しがってる余力もないけど、暗い部屋に帰ってただ寝るだけの毎日より、こうやってチカが部屋で待っててくれるの、嬉しい。」

抱きしめたまま、ちゅ、とキスをした。
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