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第39章 Calamari fritti e formaggi
「…んー、コレ今日中に決めないとなんだろ?だったら今から試作するか…ヤリイカは冷凍のがなんぼかあるからお前梅田でチーズ買ってこいよ。駅ナカの輸入食材売ってるスーパーがあったろ。」

「成城石井ですか?」

「んー、そこでも阪神の地下食でもいいわ。セレクトはお前に任せる。ワインに合うチーズはお前のが詳しいだろ。あとは、バランス見ていくつか作ってみよう。試食の心強い助っ人はここに居るから。」

「あ、この方、どなたなんですか?」

「野田千束と申します。この店の常連客です!」

「はぁ…」

「俺の彼女。けど味覚が鋭いからその点は安心していい。」

「…そうなんですね…わかりました、行ってきます!」

早速荷物をまとめて席を立つ飯田の後ろ姿に、

「あ!領収書はアルジャーノで切れよ!俺は出さんぞ!」

「解ってます!」

飯田は手を挙げて店を出て行った。
チカと2人店に残される。

「チーズ代くらい良くない…?高塚さんて意外とケチだね…」

ケチと言われると流石にカチンと来る。

「あのな…コッチは自転車操業のしがない喫茶店だ。店の売上に繋がらない金なんか使えないんだよ。チーズって結構高いんだから…それにコレはアルジャーノの仕事だ。俺はただの助っ人に過ぎん。本来ならメニューだってあいつらが考えて、俺はコレを作ります、っていうのを聞いてその通りに動けばいいだけなんだよ。それがメニューも決まってないって泣きつかれたからこうやって営業時間外に打ち合わせしてんだろ?こんなん別料金だぞ?ま、俺は優しいからボランティアしてやってるけど!」

鼻息荒く吐き捨てるとチカがハイハイ、と苦笑した。
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