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50センチの距離
第40章 birthday cake
「…ピンキーリングも可愛いかな、と思って。薬指は、空けておきたいんだ。コレなら薬指に嵌る時も一緒に着けられるし…それに、ペアリングじゃないでしょう?結婚指輪ならともかく、彼に貰った指輪をこれ見よがしに薬指に着けるの、なんかヤかな、って思って…」
まぁ、チカはクライアントの前に出る仕事だし、資料を見るときに手って目に入るだろうから、指輪してると目立つのかもしれない。今まで着けてなかったなら尚更。結婚指輪、のワードに反応してしまうけど…俺は結婚指輪を買ったとしても多分着けられないけど…まぁチェーンに通して首から下げる…でもいいかな…
なんて、結婚指輪を買う、に至る諸々をすっ飛ばして、買った後の心配なんかしてしまう。
「ネックレス、とかでもいいけど…ま、チカがそれがいいってンなら、それでもいいけどさ…」
「ピンキーリングでしたら、他にもございますので、お出し致しますが…ご予算などございますか?」
にこやかに笑いかけられ、チカはそのまま俺を見上げる。
俺は店員に耳打ちするように、3万から…高くても5万以内で、とそっと呟く。店員はにこやかな顔のまま、頷き、いくつか同じグレーのトレイにリングを集めてくれる。