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第40章 birthday cake
俺もひと口食べてみると、ハイカカオチョコレートの苦味、ガッツリ効いたブランデー、殆ど甘みのないそれは、ケーキの形をしてはいるが、スィーツとはかけ離れた別モノだった。コレは…甘いと思って食べたら詐欺レベル。一般向けに商品化は出来ないだろうけど、これも里見が俺の嗜好を解ってるからやってくれたことなんだろうな。

「味が違うの?」

チカが俺のケーキを見る。出た。食いしん坊は味が違うと分かると味見してみたくなるんだよな。それが好みの味じゃないとわかってても、食べて納得したい、んだろうな。

薄くフォークで削って、全然甘くないよ、と言いながらチカの口に入れてやる。ん!すっごいお酒入ってる!目をパチパチさせながら慌てて自分のケーキを食べた。口直しか。

「あ、でも後にこっち食べるとブランデーの風味もあって美味しい!」

チカも俺の口の前に自分の方のケーキが少し乗ったフォークを突き出してきて、少しだけなら、と食べた。
甘いけど、オレンジの風味とチョコが良く合う。一切れ食べろと言われたら俺には厳しいけど、不味いとは思わない。
やっぱり里見のケーキは評価されるだけある。腕のいいパティシエに、我儘なオーダーができる間柄であることに感謝した。
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