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50センチの距離
第11章 ロイヤルミルクティー
「…ちょっと…なんて言えば良いのかよく分からないんだけど…」

「うん。」

藤本くんは、前を向いたまま、手に持ったコーヒーを飲みながら頷く。

藤本くんは私の顔をあんまり見ないように、でもちゃんと聞いてるよ、ていうリアクションを返してくれる。

「…ずっと、憧れてる人がいて。でも、その人にとったらきっと、私なんてただの子供で…きっと、叶わないって…思ってるのに、どっかで期待してる、自分もいて…」

「うん。」

「…それが、ちょっと、決定的なトコ見ちゃった、っていうか…」

「…そっか…」

藤本くんは缶コーヒーをぐっと飲み干した。

「…で、野田さんは、それで諦めるの?」

「……」

「俺は、その相手がどんな人なのか知らないから、言えることかも知れないけど。決定的だとしても、決定じゃあないんでしょ? 決定っていうのは、実際当たって砕けたときだよ。だったら、当たってみた方がスッキリすんじゃないかな。」

「………」

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