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50センチの距離
第11章 ロイヤルミルクティー
「…その、私、藤本くんのこと、同期としか思ってなかった、から…いきなり付き合うって言っても、正直、実感湧かないの…」

「うん。」

「…でも、1人で悩んでても、前に進めそうに、ない、から…」

藤本くんは無言で頷く。

「…まだ、藤本くんのこと、好きになれるかどうか、よくわからない、けど…それでも、付き合って、いいのかな…」

「…学生の時だと、好みのタイプとか、ちょっとしたきっかけだけで、好きだって思い込んで突っ走ったりするし、お互い大好き!みたいなこと言ったりした気がするんだけど。社会人になるとそういうの、ちょっと出来なくなるよね…それを大人っていうかどうかは知らないけど…試しに、っていうか、付き合ってみて、お互いのことを知っていく、っていうのもアリかな、と、俺は思うんだけど。」

私も、こくん、と頷く。

「じゃあ、交渉成立、てことで。改めて、宜しくお願いします。」

藤本くんが右手を差し出したから、私もその手を握る。
そしたら、そのまま手を引かれて、バランスを崩したトコロをギュッと抱きしめられた。

「握手は、友達。俺たちはこれから恋人になるから、スタートはハグで♪」

藤本くんの胸の中で、頰が熱くなるのを感じた。

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