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50センチの距離
第13章 ブルスケッター Tasting of the cake ー
野田さんに恋人がいたからどうだって言うんだ。
若いし可愛いんだからオトコの1人や2人居るだろ、フツー。
なのにどうしてこんなにモヤモヤするんだろう。

相手が村上じゃなかったんだから。二股かけられてるわけじゃないんだろうから別にいいじゃないか。
諦めたんだろ、俺は…!

でも、仕事をしながらも、心に掛かったもやがずっと晴れなくて。
無性に人恋しくなって。
だからってこんな時に都合よく会える、セフレなんて勿論居ないし。かといって風俗に行く気にもなれない。デリヘルも呼んだことないしな。そう言うんじゃないんだ…
連絡するアテなんてないのに。
携帯を握りしめ、ぼんやりとアドレスをスクロールさせる。
アドレスにはないけど、涼子の番号は覚えてる。
…携番変えてなければ、の話だけど。
かといって、じゃあ涼子に掛けるか、と言われたら、それはなけなしのプライドが許さない。

結局、携帯をデニムの尻ポケットに押し込み、店を閉めて2階の部屋に上がる。
いつもは洗濯機でおしぼりを洗濯するんだけど。
今日はそれも面倒臭くなって、おしぼりを放り込んだ洗濯機のタイマーをセットして、そのままふて寝した…
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