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50センチの距離
第14章 ショコラ オランジュ
「うん」

「何が不満だって言われたら…うまく言えないんだけど…ホントにちょっとしたこと…些細なことの、積み重ねっていうか…」

「うん」

「なんだか、疲れちゃった…」

「そっか…今は他のお客さんいないから。泣いても大丈夫。」

そう言うと、高塚さんは離れていった。
ずっと撫で撫でしてほしかったな…なんて思っだけど、そんなこと言えなくて。高塚さん…カウンターの中に居ないな…と思ったら、トイレのドアが開いて、高塚さんが出てきた。

「時間が許す限り泣いていいけど、そろそろ化粧直しした方がいいかも?」

と、時計を指差す。

ヤッバイ!
私は慌ててバッグを持ってお手洗いに入った。
いつもの事ながらキレイに掃除された洗面台で、化粧を直す。
洗面台の横におしぼり置きに乗った新しいおしぼりがひとつ。
高塚さんの心遣いに感謝しながら、滲んだアイメイクを直し、何度か角度を変えて鏡を見て、大丈夫!とひとつ頷いてトイレを出た。
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