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50センチの距離
第15章 フローズン・マルガリータ Le bar ombrage
「ごめんなさい…」
私はふかく頭を下げた。
「………」
藤本くんはテーブルの上で拳を握り締める。
「…何を言ってももう無駄なんだろうな…俺が千束ちゃんを好きになったのは、いつも元気でキラキラしてたからだ。俺と付き合うようになって、その感じがなくなったっていうか…でも、俺なりに頑張れば、俺のこと好きになって貰えば、またあのキラキラした千束ちゃんが見れるかと思ったけど…結局、俺じゃ力不足だったって訳か…俺から離れたら、また君は前みたいにキラキラすんのかな…それを可愛いと、手に入れたいと思っても俺じゃダメ、ってか…」
キリッと奥歯を噛んで、はぁー、と溜息をついた。
「…水の中の月…」
「え?」
藤本くんはコップの中の水に映った照明を指差した。
「…水面に映った月を、手に入れたいって水を掬っても、月は手に入らないだろう。触ろうとしても触れない…無理に触れば壊れてしまう…決して触れないもののことだよ…」
「…ホントに…ゴメン…」
「最後に1つだけ。こんな話なら店に入る前にすれば良かったね。お互い食欲ないだろうけど、オーダーした料理は食べよう。今更キャンセルは店に迷惑だ。今お金だけ置いて帰るのもね…だから、最後の食事くらい付き合って…」
私は頷いて、来た料理を食べた。
味はあんまりよくわからなかった。
私はふかく頭を下げた。
「………」
藤本くんはテーブルの上で拳を握り締める。
「…何を言ってももう無駄なんだろうな…俺が千束ちゃんを好きになったのは、いつも元気でキラキラしてたからだ。俺と付き合うようになって、その感じがなくなったっていうか…でも、俺なりに頑張れば、俺のこと好きになって貰えば、またあのキラキラした千束ちゃんが見れるかと思ったけど…結局、俺じゃ力不足だったって訳か…俺から離れたら、また君は前みたいにキラキラすんのかな…それを可愛いと、手に入れたいと思っても俺じゃダメ、ってか…」
キリッと奥歯を噛んで、はぁー、と溜息をついた。
「…水の中の月…」
「え?」
藤本くんはコップの中の水に映った照明を指差した。
「…水面に映った月を、手に入れたいって水を掬っても、月は手に入らないだろう。触ろうとしても触れない…無理に触れば壊れてしまう…決して触れないもののことだよ…」
「…ホントに…ゴメン…」
「最後に1つだけ。こんな話なら店に入る前にすれば良かったね。お互い食欲ないだろうけど、オーダーした料理は食べよう。今更キャンセルは店に迷惑だ。今お金だけ置いて帰るのもね…だから、最後の食事くらい付き合って…」
私は頷いて、来た料理を食べた。
味はあんまりよくわからなかった。