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SMを詰め込んだ短編集
第8章 僕のカナリヤ/SM
そうやって純心に鈴を愛し、こっそりと会いに行き、指を温める日もあった。随分前のようなことだったように思う。
ある日、両親が事故で他界した。可哀想に、寒い寒い日に両親は川に落ちたらしい。雪に滑ったか、それとも欄干から下を覗いたのか。さぞ寒かったことだろう。線香を上げながら手を合わせる。(おかしいね。あの日とても吹雪いていて、下を覗いたって何も見えやしないのに。川に落ちた時の音はすごかったけど、吹雪のせいで誰にも気が付かれなかったよね。もしかして僕の鈴を他所へやろうとした誰かの仕業だったりして。…誰だかは知らないけど。)

「ただいま、鈴。良い子にしてた?」

座敷牢の外鍵は鉄のさびた音を響かせる。すすり泣く鈴の細い声が広い畳部屋に静かに響いていた。

「泣いていたの?」

そっと鈴のそばへ近寄って目隠しを外してやった。真っ赤になった目が痛々しい。
涎でべとべとになった豆絞りも外してやるとすすり泣く声が少し大きくなる。僕の姿を認めて目が更に濡れた。

「僕がいなくて寂しかった?」

横たわった鈴を抱き起し、濡れた頬に口づける。冷たくてしょっぱい。いつから泣いていたんだろう。
少し躊躇った後に小さく頷いたのを確認してから、震える唇にもキスを。

「どうして泣いてたの?…つらかった?」
「…も、外して…痛いの…」

う、う、と苦しそうに泣く鈴の肩口にもキスを。
着物の上から後ろ手に縄で縛り上げ、太ももと足首にも縄を通した鈴は、僕が帰ってくるまでこうやって泣いていたんだろうか。僕だけを想って──

「かわいそう。すぐに外してあげるよ。…鈴と抱き合いたいんだ」

袂から刃物を出す僕に少し怯えた鈴だったが、緩やかに微笑むとちょっとだけ肩の力を抜く。…随分学習してくれた。最初は泣いて暴れて大変だったのに。偉い偉い。
拘束していた縄を解いてやると、真っ赤になった手首を摩って小さな体を震わせていた。

両親が他界してから季節は2つほど巡ったが、物覚えが良くないのか鈴はこうやって体を震わせている。足の拘束も解いて両手を広げて見せると、おずおずと僕の体に腕を回した。

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