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SMを詰め込んだ短編集
第9章 アリスと女王/奴隷(+純愛)
「そんなに怒らないでよ」
やっぱりクスクス笑う蓮に、鈴は泣きたいような怒りたいような、でも感謝もしているような複雑な感情を微塵も隠さず、部屋の隅で膝を抱えていました。
「空を飛ぶなんて聞いてないわ」
「あれ、そうだっけ」
やっぱり蓮はクスクス笑うだけです。
小さな小屋はテーブルと椅子とスツールがいくつかあるだけです。
蓮が差し出した真っ白いワンピースは鈴の成長途中の体にとてもよく似合っていました。
「鈴はどこから来たの?」
椅子に座る動作さえ美しく、蓮は鈴に問いかけます。鈴は首を横に振るだけでした。
アリス…と呟いたような気がして、はっと顔を上げます。先程出会ったおかしな双子が同じ単語を発していたのを思い出しました。
目が合った蓮はにこりと笑うばかりで、それ以上詳しいことは言いませんでした。
「僕が道案内してあげようか」
「えっ…」
願ってもないことでした。
しかし…
「あたし、お金を持っていません」
蓮はキョトンとして首を傾げ、それから笑い出します。
「女王のコインのこと?それなら僕はいらないよ。僕は……。ええと、鈴。僕はちょっと忙しいんだ」
不自然に話題を変えた蓮に、鈴は少し不信感を覚えました。しかしこうやって親切にしてもらい、優しく笑う蓮が悪巧みしていると思いたくありませんでした。
「先に南へ進んで行ってくれないかな。僕はその先で待ってるから」
「え、一緒に行ってはくれないの?」
「ごめんね。一緒に行ってあげたい気持ちは山々なんだけど、やらなきゃいけないことがあるんだ。南へ下る道は1本だけだから、迷わず行けると思うよ」
「…うん」
あまり我儘は言えません。
仕方なく鈴は小屋を後にし、言われた通りに南へ下る道に入りました。
見たことも無い鮮やかな花が咲き乱れる道でした。蛇のような蔦が絡んだおかしな木。黄色や紫や青い木の実や果物が沢山落ちています。
一体どんな味かしら。
やっぱりクスクス笑う蓮に、鈴は泣きたいような怒りたいような、でも感謝もしているような複雑な感情を微塵も隠さず、部屋の隅で膝を抱えていました。
「空を飛ぶなんて聞いてないわ」
「あれ、そうだっけ」
やっぱり蓮はクスクス笑うだけです。
小さな小屋はテーブルと椅子とスツールがいくつかあるだけです。
蓮が差し出した真っ白いワンピースは鈴の成長途中の体にとてもよく似合っていました。
「鈴はどこから来たの?」
椅子に座る動作さえ美しく、蓮は鈴に問いかけます。鈴は首を横に振るだけでした。
アリス…と呟いたような気がして、はっと顔を上げます。先程出会ったおかしな双子が同じ単語を発していたのを思い出しました。
目が合った蓮はにこりと笑うばかりで、それ以上詳しいことは言いませんでした。
「僕が道案内してあげようか」
「えっ…」
願ってもないことでした。
しかし…
「あたし、お金を持っていません」
蓮はキョトンとして首を傾げ、それから笑い出します。
「女王のコインのこと?それなら僕はいらないよ。僕は……。ええと、鈴。僕はちょっと忙しいんだ」
不自然に話題を変えた蓮に、鈴は少し不信感を覚えました。しかしこうやって親切にしてもらい、優しく笑う蓮が悪巧みしていると思いたくありませんでした。
「先に南へ進んで行ってくれないかな。僕はその先で待ってるから」
「え、一緒に行ってはくれないの?」
「ごめんね。一緒に行ってあげたい気持ちは山々なんだけど、やらなきゃいけないことがあるんだ。南へ下る道は1本だけだから、迷わず行けると思うよ」
「…うん」
あまり我儘は言えません。
仕方なく鈴は小屋を後にし、言われた通りに南へ下る道に入りました。
見たことも無い鮮やかな花が咲き乱れる道でした。蛇のような蔦が絡んだおかしな木。黄色や紫や青い木の実や果物が沢山落ちています。
一体どんな味かしら。