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SMを詰め込んだ短編集
第9章 アリスと女王/奴隷(+純愛)
急激にお腹が空いてきました。
この見たこともない果物、お味はいかが…
黄色ともオレンジとも言えない色の果実をひとつ手に取ります。皮は薄いようで、爪の先を引っ掛けるとすぐに瑞々しい果肉が顔を出しました。
ごくりと喉を鳴らしました。引き寄せられるように口元へ持っていき、一口齧りました。
甘酸っぱく瑞々しい果実は、思いのほか乾いていた喉を潤すのに十分なほどです。一口、また一口…気が付けば種と皮だけを残して全て鈴の腹へと収まったのでした。
「ああ…美味しかった。おなかもいっぱい」
満足した鈴は口の端に付いた果汁を舌で舐め取って、そうしてまた足を踏み出します。
しかし、歩けど歩けど景色が変わっている気がしません。まるで同じところをぐるぐる歩いているような…
急に怖くなってきました。蓮には道は一本だけだからと教わりました。確かに歩けそうな道は一本だけです。でも…さっきもこの鮮やかなお花の横に、黄緑色の果物が落ちていたような気がします。小走りになり、ついには走り出しますが、やっぱり景色は変わりません。
ぜいぜいと息を切らせて走る道の右側に、赤い屋根のお家が見えました。
誰かいるかもしれません。道を尋ねてみようと、赤い屋根を目指して歩みを進めました。
茂みを抜けると広いお庭が広がっていました。
そこにはベッドよりも大きなテーブル、全く揃ってない椅子、ティーセットとケーキやお菓子。背の高い帽子を被って欠けたティーカップでお茶を飲んでる男の人がひとり。それも椅子にお行儀よく座っているというのにステッキを振り回しています。言うなれば、異様でした。
この見たこともない果物、お味はいかが…
黄色ともオレンジとも言えない色の果実をひとつ手に取ります。皮は薄いようで、爪の先を引っ掛けるとすぐに瑞々しい果肉が顔を出しました。
ごくりと喉を鳴らしました。引き寄せられるように口元へ持っていき、一口齧りました。
甘酸っぱく瑞々しい果実は、思いのほか乾いていた喉を潤すのに十分なほどです。一口、また一口…気が付けば種と皮だけを残して全て鈴の腹へと収まったのでした。
「ああ…美味しかった。おなかもいっぱい」
満足した鈴は口の端に付いた果汁を舌で舐め取って、そうしてまた足を踏み出します。
しかし、歩けど歩けど景色が変わっている気がしません。まるで同じところをぐるぐる歩いているような…
急に怖くなってきました。蓮には道は一本だけだからと教わりました。確かに歩けそうな道は一本だけです。でも…さっきもこの鮮やかなお花の横に、黄緑色の果物が落ちていたような気がします。小走りになり、ついには走り出しますが、やっぱり景色は変わりません。
ぜいぜいと息を切らせて走る道の右側に、赤い屋根のお家が見えました。
誰かいるかもしれません。道を尋ねてみようと、赤い屋根を目指して歩みを進めました。
茂みを抜けると広いお庭が広がっていました。
そこにはベッドよりも大きなテーブル、全く揃ってない椅子、ティーセットとケーキやお菓子。背の高い帽子を被って欠けたティーカップでお茶を飲んでる男の人がひとり。それも椅子にお行儀よく座っているというのにステッキを振り回しています。言うなれば、異様でした。