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SMを詰め込んだ短編集
第9章 アリスと女王/奴隷(+純愛)
蓮に抱き抱えられ、空を飛んで(やっぱり絶叫は免れなかったが)小高い丘に降り立った鈴は、目の前に広がる絶景に息を飲みました。
真っ青な空。聳え立つ立派で可愛らしいお城。天辺にはハートを模ったオブジェが飾られていて、金ぴかの門には屈強そうな門兵がふたり、槍を抱えて立っているのが微かに見えました。
「あそこへ行くの?」
「うん。でも、正面突破は無理だ」
「…?」
「近道があるんだよ」
ウィンクされて卒倒しそうになるのを必死に堪え、平静を装ってふーんと返事だけしました。最も、蓮には鈴の演技がバレているようで、蓮のほうもこっそり笑いました。
腐った木の根が目印だという蓮について、狭いトンネルを抜け、地下通路へと出ました。
「滑るよ。気を付けて」
「うん、ありがとう」
前を歩く蓮は、鈴の手をそっと取りました。温かくて大きな手にどきどきして、でもやっぱり平静を装うのでした。蓮の目にはそれはもう可愛らしく映り、そうして咳払いをして誤魔化すのでした。
「ふふっ…ああ、ダメだ」
「…え?」
「こんな気持ち、久々だよ」
「なにが?」
突然ぴたりと立ち止まって、蓮は鈴を正面から捉えます。
「かわいいよ鈴、本当に」
「え、え?」
「好きになっちゃいそうだよ」
ふと、唇に温かくて柔らかいものを感じ、鈴はそれを理解するのに数十秒を要しました。
真っ青な空。聳え立つ立派で可愛らしいお城。天辺にはハートを模ったオブジェが飾られていて、金ぴかの門には屈強そうな門兵がふたり、槍を抱えて立っているのが微かに見えました。
「あそこへ行くの?」
「うん。でも、正面突破は無理だ」
「…?」
「近道があるんだよ」
ウィンクされて卒倒しそうになるのを必死に堪え、平静を装ってふーんと返事だけしました。最も、蓮には鈴の演技がバレているようで、蓮のほうもこっそり笑いました。
腐った木の根が目印だという蓮について、狭いトンネルを抜け、地下通路へと出ました。
「滑るよ。気を付けて」
「うん、ありがとう」
前を歩く蓮は、鈴の手をそっと取りました。温かくて大きな手にどきどきして、でもやっぱり平静を装うのでした。蓮の目にはそれはもう可愛らしく映り、そうして咳払いをして誤魔化すのでした。
「ふふっ…ああ、ダメだ」
「…え?」
「こんな気持ち、久々だよ」
「なにが?」
突然ぴたりと立ち止まって、蓮は鈴を正面から捉えます。
「かわいいよ鈴、本当に」
「え、え?」
「好きになっちゃいそうだよ」
ふと、唇に温かくて柔らかいものを感じ、鈴はそれを理解するのに数十秒を要しました。