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SMを詰め込んだ短編集
第3章 シスターのひみつ/奴隷・SM
翌朝、ミサの準備を終えて庭の掃除に出た。昨日散々“懺悔”をしたせいで体が怠い。竹箒を持ったまま石段に腰を下ろして空を見上げた。一面真っ青な空に白い鳩が一羽飛んでいた。
「大丈夫?」
不意に声を掛けられて辺りを見渡した。しかし茂みにも入口付近にも誰もいない。それにここは教会の入口から死角になっていて、もしミサに訪れる方だったとしてもこんな奥まった庭に入ってくる人はいない。
不思議に思ってきょろきょろと辺りを見渡していると、心底楽しそうな笑い声。
「鈴。ここだよ」
「だれです?どこに…」
「ここだよ」
耳をそばだて、声の方向を特定した。声の主は木の上でひらひらと手を振っていた。
「…蓮」
「こんにちは鈴。ずいぶん怠そうだけど、大丈夫?」
真黒いマントを羽織って、美しい金糸の髪を風に遊ばせている。背中には真っ黒な羽。
聖職者の主な仕事は神への祈り、ミサに来た方々のお手伝い。それから、悪魔退治…とは名ばかりで、実際に人間は悪魔などというものに出会ったことはないだろう。想像上の生き物で、聖書に描かれているおどろおどろしいものだと想像しているだろう。
しかし実際はこんなに見目麗しく、温かい手をしている。
あろうことかシスターである私はこの悪魔と愛し合ってしまった。
「そんなところにいたら落っこちちゃうよ」
「平気だよ。なんたって俺は悪魔だし」
漆黒の羽を纏った悪魔──蓮はくつくつと笑いながらひょいと身軽に木から飛び降りて見せた。
「大丈夫?」
不意に声を掛けられて辺りを見渡した。しかし茂みにも入口付近にも誰もいない。それにここは教会の入口から死角になっていて、もしミサに訪れる方だったとしてもこんな奥まった庭に入ってくる人はいない。
不思議に思ってきょろきょろと辺りを見渡していると、心底楽しそうな笑い声。
「鈴。ここだよ」
「だれです?どこに…」
「ここだよ」
耳をそばだて、声の方向を特定した。声の主は木の上でひらひらと手を振っていた。
「…蓮」
「こんにちは鈴。ずいぶん怠そうだけど、大丈夫?」
真黒いマントを羽織って、美しい金糸の髪を風に遊ばせている。背中には真っ黒な羽。
聖職者の主な仕事は神への祈り、ミサに来た方々のお手伝い。それから、悪魔退治…とは名ばかりで、実際に人間は悪魔などというものに出会ったことはないだろう。想像上の生き物で、聖書に描かれているおどろおどろしいものだと想像しているだろう。
しかし実際はこんなに見目麗しく、温かい手をしている。
あろうことかシスターである私はこの悪魔と愛し合ってしまった。
「そんなところにいたら落っこちちゃうよ」
「平気だよ。なんたって俺は悪魔だし」
漆黒の羽を纏った悪魔──蓮はくつくつと笑いながらひょいと身軽に木から飛び降りて見せた。