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SMを詰め込んだ短編集
第12章 ガラスの靴がなくとも/奴隷・純愛
大の字にきつく拘束され、背後から飛んでくる一本鞭に恐怖し、上のお兄様の命令で下のお兄様はわたしの恥ずかしい突起にきついクリップを容赦なく付けた。
ぎりぎりと締め上げられる突起と、不規則に肌を痛めつける鞭に涙を流して謝罪のことばを叫んだが、きついクリップの先に紐を括りつけて、その先を天井へと吊ってしまったのだった。
鞭が飛んでくるたび皮膚が焼けるような痛みと、引きちぎられそうになる突起に喉から血が出そうなほど叫んだ。
遂に粗相をしてしまったお兄様は何故か機嫌を直し、熱く滾った肉棒で拘束されたまま貫かれたのだった。ふたりのお兄様に体中精液塗れにされ、満足したのか今度はクリトリスにクリップを付け、紐を通した。その先を壁に取り付けられた長いコイルに括られるのを黙って見ているしかなかった。コイルのすぐ横にからくりが置かれ、事の重大さに気が付いたときにはもう遅かった。回転するからくりの先には短い木の棒が等間隔についていて、一定の間隔で木の棒がコイルを叩く仕組みだ。
きつく挟み込まれ、紐によって引っ張られ、大の字で固定されて動けないわたしのクリトリスには絶えずコイルから電流のような激しい振動が送られてくる。
振動を少しも緩めることができず、逃げることも仰け反ることも許されなくて号哭するわたしを目の前にしてふたりのお兄様はゆっくりとお酒を飲んでいた。
あれは4日くらい前だったような気がする。

思い出しただけで体が震えた。
絶頂しても許されず、気が遠くなるほどの長い時間、泣き叫んでも止まることのなかったあのコイル責めはまさに地獄だった。

「…どうした?大丈夫か?」

温かくて大きな手が、わたしの手に重なる。
口を開けなかった。石のように固まってしまったわたしの手を、荒々しい指が静かに撫でる。

「言いたくないなら無理に聞かないけど」
「ごめ、なさ…」

ついにぽろぽろと涙が零れた。
お兄様を憎むことが出来ないと思っていた。
お兄様を憎むと、わたしには居場所がないと気が付いてしまった。

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