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SMを詰め込んだ短編集
第12章 ガラスの靴がなくとも/奴隷・純愛
馬に乗るなんて聞いてない。
目でそう訴えたが、鼻で笑われるだけで終わった。
でも蓮の左手はわたしのお腹にしっかりと回され、わたしには鞍にきちんと掴まってろと言ってくれる。
途中馬を休ませるという名目で随分休憩した。ふたりも乗せて山道を歩く馬のこともあっただろうが、多分、わたしにも気遣ってくれた。
そうして馬はあり得ない場所へと向かっていったのである。
「…蓮」
「なんだ?」
「この先、お城しかないよ…多分」
森を抜け、城下を超えて一本道。
この先はつり橋とお城しか見えない。
「何言ってんだ。そこに向かってんだよ」
「え、王様になにか、ご用事が…?」
「…?さっきから何言ってる?俺はあそこの第一王子だが」
「へ!?」
事も無げに。
当たり前のように。
何ならため息交じりで、呆れたように。
「お前、自分の国の王子の顔も知らなかったのか」
わたしは夢でも見ているんだろうか。背後から聞こえてくる声はもうわたしの耳には入ってこなかった。
目でそう訴えたが、鼻で笑われるだけで終わった。
でも蓮の左手はわたしのお腹にしっかりと回され、わたしには鞍にきちんと掴まってろと言ってくれる。
途中馬を休ませるという名目で随分休憩した。ふたりも乗せて山道を歩く馬のこともあっただろうが、多分、わたしにも気遣ってくれた。
そうして馬はあり得ない場所へと向かっていったのである。
「…蓮」
「なんだ?」
「この先、お城しかないよ…多分」
森を抜け、城下を超えて一本道。
この先はつり橋とお城しか見えない。
「何言ってんだ。そこに向かってんだよ」
「え、王様になにか、ご用事が…?」
「…?さっきから何言ってる?俺はあそこの第一王子だが」
「へ!?」
事も無げに。
当たり前のように。
何ならため息交じりで、呆れたように。
「お前、自分の国の王子の顔も知らなかったのか」
わたしは夢でも見ているんだろうか。背後から聞こえてくる声はもうわたしの耳には入ってこなかった。