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SMを詰め込んだ短編集
第12章 ガラスの靴がなくとも/奴隷・純愛
薄着の上に裸足で森を駆けたから、泥だけになっているという名目で浴室に案内された。
大理石で誂えたらしい広すぎる浴室に腰を抜かしそうだ。

あまりの光景に怖気づいたわたしを他所にさっさと服を脱ぎ、上半身に何も纏わない状態でわたしに振り返った。

「お前に何があったかは、俺からは聞かない。だが、体を触られることに恐怖を覚えているなら、今から俺がそれを払拭してやる」
「え、」

どうして、わかったの。
恥ずかしくて情けなくて、俯いた。
ふと、髪を撫でられる柔らかな感触。

「その傷の付き方を見ればだいたいわかる。それと、湖でお前に触った時、お前は隠したかもしれないが尋常じゃない怖がり方をしたからな」

驚いて思わず顔をあげた。蓮はあまりにも真剣な目をしていた。
目を逸らせなかった。

「セックスは怖くないって、俺が教えてやる」

しかし、いくら身を預けたいと思った人でもいざ服を脱ぐとなると、やっぱり恥ずかしいわけで。

「ね、お願い向こう向いてて…」
「いいからさっさと来い」
「だって…」

強引なのに、でもどこか優しいその声に逆らえなかった。
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