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SMを詰め込んだ短編集
第3章 シスターのひみつ/奴隷・SM
「キスが好きだね、鈴」
「うん…」
「ふふ…そんなに頬を染めて息を上げて、潤んだ目をされたらこれ以上のことしちゃうよ」
「だめ、こんなところで…」
「嘘だね。本当は期待してる。目がそう言ってるよ。違う?」

違わない。でも聖職者の私がそんな、これ以上のことを望むなんてはしたないだろうかとか、恥ずかしいとか、そんなことばかり思って素直になれないでいる。
そんな私の心情を見透かすように蓮が笑った。

「あの司祭って鈴にひどいことするばっかりで、キスのひとつもしてやらないもんね」
「な、え、ど…どうして知ってるの…?」
「あの地下室って、実は完全に地下には作られてないんだよね。ああ、鈴は教会の敷地の外へ出たことがないから知らないか。ここの教会は丘の上に立ってるんだよ。それであの地下はね、丘の一番下にあたる場所。壁が崩れてるところがあるって気が付かなかった?」

ばくばくと音を立てて心臓が暴れている。なんで、どうして、あんな恥ずかしいことを蓮に見られていたなんて!

「ひどい司祭だよね。たかが花瓶ひとつ割ったぐらいでさ、鈴が泣いて謝ってるのにひどいことばっかり。あんなに恥ずかしい恰好させられて、どれだけ心が傷ついたの?昨日の鞭はさぞ痛かったでしょ…」

唇をぎゅっと噛んだ。辛かった。痛かった。だけどそれを誰かに言うこともできなかったし、まして励ましたり気遣ってくれる人もいない。こんなふうに逞しい腕の中へ私をぎゅっと包み込んでくれる人がいるなんて想像すらしていなかった。

「かわいそうに。俺が慰めてあげようね」

悪魔の囁き、なんてうまい表現は誰が考えたのだろう。
耳元に優しく、そして甘く響く声にぞわりと鳥肌が立った。
気が付けば長そででマキシ丈のワンピースは背中のファスナーが外されていた。壊れ物を扱うかの様に優しく肌に触れる蓮の手が大好き。
うっとりと蓮を見上げれば、同じように笑ってキスをくれる。

「かわいい鈴。ああ、これはこの前の鞭の外し痕だね。痛いでしょ、かわいそうに…」
「ん!」

蓮はそっとワンピースを肩から外す。さっき口ではダメだと言ったが、抵抗する気はなかった。
肩に付いた真っ赤な蚯蚓腫れに優しいキスをして、長くて熱い舌で舐め上げた。
ひりひりと沁みるそこに肩を強張らせると、握りこんだ私の手を取って指を絡め合った。
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