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SMを詰め込んだ短編集
第3章 シスターのひみつ/奴隷・SM
「痛かった?ごめんね。でもそんなに握ったらこの可愛い手が傷ついちゃうでしょ。俺の手ならいくらでも握ってていいよ」


──鈴をあいしてるよ

夢のようなことば。
誰からもそんなこと言われたことがなかった。初めて蓮にそう言ってもらったのは、もうずいぶん前だったような気がする。最初は信じきれなくて、悪魔に絆された自分を嫌って、悩んで泣き濡れて心が段々と荒んでいった。それでも蓮は最後まで私を離さなかったし、こうやって教会に足を運んでは私を慰めてくれる。
優しい蓮のことを愛してる──そう伝えたときの蓮の嬉しそうな顔と言ったら。

「なに笑ってるの」
「うふふ…蓮と初めて愛を交わした時のことを思い出したの」
「ああ、あのとき…。俺だって人間を、それも聖職者にこんなに惚れ込むなんて思ってもみなかったよ」
「わたしもよ」
「鈴、本当にきみを愛してる。キスしよう」
「うん…」

優しく微笑んだ蓮が言葉通りに優しく唇を重ねた。ふわりと重なって、一瞬だけ離れる。それからまたくっついて、優しく食んで、舌がにゅるりと入ってきた。絡めとられ、でもそれは決して強引ではなく、唾液を絡ませるように擦り合わせる。
司祭様にはミサに来た人々と個人的な話をすることを禁止された。だから、私が知りうる人は司祭様ただ一人。私はドジだからいつも司祭様を怒らせて地下室で懺悔をさせられる。それが終わったら司祭様はご自分の部屋へ行かれて、私は屋根裏の小さな部屋で一人で過ごした。司祭様に呼ばれたとき以外は部屋から出ることも禁止されていたから、こんなふうに誰かとお話したのも初めてだし、キスをしたり手を握られたり、頭を撫でられたのも初めてだ。
開けたワンピースを腰まで脱がされる。とっさに胸を覆った。

「鈴のきれいな肌を見せて?」

ちゅ、ちゅ、と音を立てて私の腫れあがった肌にキスを落とし、膝立たされる。
蓮もいつの間にか地面に座り込んでいたようで、蓮の足に跨る形で膝立ちした。
膝立ちになったことでワンピースがぱさりと地面に落っこちた。
胸の目の前に蓮の顔があって、恥ずかしくてどうしても手を避けられない。

「見せてよ鈴。おねがい」
「や…恥ずかしい」
「大丈夫だよ」
「だってそれに…」

昨日、たくさん鞭で打たれた。傷だらけになった胸をまじまじと見られたくない。
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