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SMを詰め込んだ短編集
第12章 ガラスの靴がなくとも/奴隷・純愛
特に言葉はなかった。
だけど真剣な眼差しは変わらなくて。
肩にキスを落とし、ゆっくり肌を舐め上げて胸へと進路を進める。
乳房の脇から乳輪を丁寧に舐め、ちゅ、と音を立てて乳首を吸い上げる。
びくりと跳ねる体は、蓮の手がゆるやかに撫でた。

舌で弾かれて蓮の頭を抱えてしまった。舌で扱かれ、吸われると思わず髪の毛を掴む。痛いともやめろとも言わないでいてくれた蓮の優しさを知った。

ちゅ、ちゅ、とわざとらしいほどのリップ音を響かせながら鳩尾からお臍に向かって唇が降下する。くすぐったくて恥ずかしくて身を捩ると、お腹のあたりから蓮の笑った声が聞こえた。

「ここに足乗せろ」
「え、や、待って…!」
「いいから。全部見せろ」
「ひっ…やっはず、恥ずかしいよぉっ!」

膝の裏を蓮の手ががっちりと掴んで、大きく開かされる。
仰け反るような体制になって思わず後ろに手を突いた。ぐっと上へ持ちあげられ、左右に大きく開かされて、わたしは成すすべもなく蓮に全てを見られる恰好になってしまった。

一瞬、蓮の顔が曇るのを見逃さなかった。
そのあたりは一番傷が多い。鞭の痕、縄の痕、鎖で縛られたこともある。縄でその恥ずかしい割れ目を締め上げられたことなど数えきれない。クリトリスは引っ張られたり挟み込まれたりして、少し大きくなったまま戻らなくなってしまった。
その視線に耐えられなくなって、ぎゅっと目を瞑った。

「…鈴」

目を瞑ったままだから、蓮がどんな表情をしているのかは分からなかった。

「俺は、鈴が好きだよ」

笑ったような、気がした。
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