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SMを詰め込んだ短編集
第14章 敵と味方 奴隷/SM(風味)
もっと早く迎えに行くべきだった。王子自ら敵国の姫君を迎えに行くなど、そんな恥ずかしいことをしなくてよろしいと言ったあの執事の言葉など無視すればよかった。
こんなに傷だらけになって、酷い扱いを受け、女性の沽券に関わるような、こんなことになるくらいないら、国民になんと思われようとも、執事になんと言われようとも振り切って行けばよかった。
蓮の後悔の波は、留まるどころか大きくなって、津波のように押し寄せてくる。
激しくなるキスにも歯止めが効かない。こんなにも、こんなにも鈴のことをずっとずっと想っていた。笑いかけてくれるだけで、あんなに幸せだった。
それなのに、鈴はもう笑ってくれないかもしれない。蓮のことを一生信用しないかもしれない。
これは、罰だ。
泣きそうになりながら、蓮は鈴の舌を舐め上げた。怖がらせたくないという思いと、もっともっとつながりたいという思いが激しくぶつかり合って、そうして今軟膏を塗ったばかりのちいさな乳首に指を這わせる。じくじくと熱を持った鈴の乳首は、硬くなって蓮の指に喜んだ。鼻から抜ける鈴の甘えるような声が、頬に直接当たることが嬉しくてたまらなかった。
「痛い?怖い?」
できれば、気持ちいいって言ってほしい。
こんなかたちになってしまったらか、もうそれは叶わないだろうなと、蓮は頭の片隅で思う。予想とは裏腹に、鈴は恥ずかしそうに目を伏せた。
群衆にどんな言葉を投げつけられたのか、その場にいなかった蓮は分からない。だけど、優しい言葉など掛けられていないことなど想像に容易い。だから、鈴は素直に自分の気持ちを言うことに激しい抵抗があるのではないかと予想した。
「怖かったら、もし、痛かったら、いやだったら、すぐ言ってほしいんだ。…鈴のいやがることはしたくない」
自分の気持ちを言うことになんて、抵抗などしなくてもいい。そんな思いを込めて蓮はしっかりと鈴の目を見て言った。鈴は何も言わなかったし、横にも縦にも首を振らなかった。
ただ、ふっと瞳が揺れたのを、蓮は見逃さなかった。