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SMを詰め込んだ短編集
第14章 敵と味方 奴隷/SM(風味)
どう捉えたのかはわからない。
だけど、きっと悪い意味には捉えていないと判断した蓮は、一旦キスをやめて再び軟膏を手に取った。
たっぷりと指に乗せ、可哀想な痕がくっきりついた背中に這わせる。しっかりと塗り込めば、傷はやがて消えるだろう。
心の傷は、どうしたら治してやれるのか。

鈴がシーツに顔を押し付けていることを良いことに、蓮は唇を結んだ。
俺が、必ず直してあげる…。そんな思いを込めて、そっと肩甲骨のあたりにキスを落とした。

「ちょっとだけ起き上がれる?」

一通り背中に軟膏を塗り、あまりに広い範囲のため包帯を巻いてやろうと鈴に話しかけた。鈴は特に抵抗を見せず、その場にむくりと起き上がった。
ベッドサイドの引き出しから包帯を取り出して、丁寧に巻いてやった。痛々しい傷は隠れたが、今度は包帯が痛々しい。顔を顰めた蓮に、鈴が首を傾げた。蓮は何も言わなかった。

「寝転んでいいよ。今度は…」
「まっ…て!やっ!」
「ここが一番傷がひどい…見せて。薬を塗るよ。変なことしないから…」

膝を持ち上げて、一番ひどい扱いを受けた、足の間に軟膏を塗ろうとして、流石に抵抗されてしまった。それもそうだろう。散々までに辱めをうけた場所だ。大きく開いて薬を塗られるなど、そんなこと恥ずかしいに決まっている。
蓮はしばし考えた。

「分かった。じゃあ、こうしよう。ここに座ってくれる?」

蓮はベッドボードに背中を付け、足を軽く開いて座った。自分の足の間を指さして見せると、今度は鈴が少しだけ考える素振りを見せる。
やがて観念したのか、鈴はおずおずと蓮の足の間に、蓮に背中を向ける形でそこにすっぽりと収まった。
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