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第15章 SNS/SM

最初は、乳首を見せて、ここでだめならDMくださいとかそんな内容だった。これまでこのフォロワーは、あたしが褒めて欲しいポイントを的確に言ってくれたから、嬉しくて指示通り乳首の写メを撮ってDMを送った。そうしたら、なんて言ったと思う？
“小さくてかわいい乳首だね。もっと大きくしてみない？オリーブオイルを塗ってごらん”
びっくりした。裏垢だし、てっきりいやらしいねとか興奮するよとか、頭悪そうな褒め言葉が来るのかと思った。それが、乳首を見てかわいいなんて返されるとは予想外だった。
勿論SNSなので、相手がどんな人かなんてわからない。あたしは勝手にオジサンだと思ってる。だって、妙に手馴れている感じがするんだ。普通乳首にオリーブオイルを塗るなんて発想でないでしょ。
オリーブオイルを塗ったら、どうなるんだろう。この人だったら、あたしの本当の姿を受け止めてくれるかもしれない。もっともっと褒めてくれるかもしれない。今後どうせ会うことも、お互いの本名を知ることもないんだからと軽い気持ちと好奇心で、こっそりキッチンからオリーブオイルを醤油皿に入れて自室に持ってきたのだった。



「あ、いた」
彼の名前は“レン”。裏垢だし、多分本名じゃない。最悪、男じゃないかもしれないけど、聞かなかった。所詮SNSなんだから、別に聞く必要もないと思う。
今日のご飯はカレーだったとか、飼い猫がどうのとか呟いてる。多分、俺いるよって合図だと勝手に思っているので、あたしもどうでもいい空の写真とか上げて、適当に雲がきれいだったよーなんて付け足した。
そうしたら、DMの通知。