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SMを詰め込んだ短編集
第16章 私のかわいい双子たち/SM
「今日は僕がしてあげるね」
「ほら鈴、足開け」

あたしはベッドの端に座らされた。背後には背もたれのようにぴったりとくっつく蓮音、床に座るような形であたしの正面を陣取るのは紫音。
双子に嬲られた乳首がじんじんと熱を持ち、体に上手く力が入らない。蓮音って意外と体温高いんだよね、あったかいなぁ、なんて頭の中は現実逃避している次第だった。

「鈴、早く」
「やっ…!」

蓮音が背後からあたしの右膝裏を持ち上げ、そのまま開かれそうになった。思わず両手で抵抗すると、正面にいた紫音の目の色が変わった。

「鈴ちゃん、縛られたい?」
「ちがっ…!」

おっとりしていて物腰柔らかく、いつも微笑んでいる紫音だが、実は蓮音よりも紫音の方がずっと冷徹だ。すっと細められたその目に、背中に冷たい汗が流れた。

「蓮音、“アレ”使ってもいいよね?」
「おう」

一方の蓮音は背後で笑っていた。
これから何が起こるのか予想すら出来ないあたしは、ただ固まることしかできない。
音もなく立ち上がってどこかへ行った紫音を、目線だけで追った。

「ひゃっ!あっ…蓮音…」
「ん。なぁ、このピアス着けてくれてるんだな」

恋人が後ろから抱き締めているような、慈愛に満ちた抱擁で、蓮音があたしの耳に舌を這わせる。鼓膜に直接響く蓮音の落ち着いた低音に、思わず後ろから回された腕にしがみつく。嬉しいよ、なんて言いながらピアスごと舐め上げられ、腰に甘い電流が流れる。
リングタイプの、ピンクゴールドのピアス。一列に綺麗な石がはめ込まれたデザインで、双子がアルバイトしてあたしの誕生日にプレゼントしてくれた。

「お待たせ…なんだ、僕がいない間に鈴ちゃんすっごくいい顔してる」
「おー。耳好きだもんな?」
「ピアスしてくれてるんでしょ。“僕達の奴隷の証”」

ビクリと肩が跳ねた。
明らかに、恐怖ではなかった。

プレゼントされたとき、家畜の識別札みたいでしょ、なんて言われた。ぞくりとしたことは内緒だったはずなのに…双子にはバレていたようだ。

──自ら進んでこれをつけているなんて、あたしも大概だな、なんて…。

ぞくぞくと背中が粟立ち、蓮音の腕にしがみつく。耳元で蓮音が笑った。

「こうやって縋ってくる鈴も可愛いけどな。紫音」
「分かってるよ。蓮音がやる?」
「そうだな、体勢的に」

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