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SMを詰め込んだ短編集
第17章 昔の男に貰った指輪してたら勿論彼に怒られた件!/SM
あたしが答えを求めるようにおずおずと見上げると、彼は忌々しげに眉を顰める。
「こちらには届いていない」
折角久しぶりに会えると思って嬉しかったのに。吐き捨てるように言った声が、悲しかった。
「…ごめんなさい」
素直に謝ったのに。恭介さんは力を全く緩めてくれない。
どうして、と思った瞬間、ふと指輪の存在を思い出した。
今の今まで完全に忘れていた。彼の目を見つめ返す。そして血の気が引いた。
いくらなんでも、そりゃ薬指に指輪が嵌っていたら、疑われたって仕方がない。
血の気が引きっぱなしになったまま、慌てて叫んだ。
「あの!もしかしてこれ、のこと、ですよね…?」
恭介さんからの返事はなかった。代わりに手首に爪がくい込む。顔を顰めたが、詳細な答えを言うまで解放してくれそうになかった。
「掃除をしてる最中に、見つけたんです、その、元カレ…」
から貰ったけど、全然深い意味なんかなくて、ただ好奇心とくだらない理由で付けてみたんです。
続くはずだった言葉は全部、恭介さんの口内に消えていった。
怒り任せの獣みたいな呼気を漏らし、彼はあたしの呼吸ごと奪う。言葉を紡ぐはずの舌が絡め取られて、本来の役割を果たさない。痛いくらいに押し付けられた唇は、彼の歯に当たって、さっきの傷が再び開いてしまった。じわりと広がる鉄の味は、どちらともつかない唾液に薄められて、あたしの顎を伝う。クリーム色の襟は多分、薄桃に染められてしまっただろう。
「はっ!やっ…恭介、さんッ…!」
必死に紡ぐ言葉すら許して貰えなかった。ちゅくりちゅくりと耳を塞ぎたくなるような音が玄関に閉じ込められて、ギリギリと締め上げていた彼の大きな手は、いつの間にか、あたしの指に絡んでいた。
「こちらには届いていない」
折角久しぶりに会えると思って嬉しかったのに。吐き捨てるように言った声が、悲しかった。
「…ごめんなさい」
素直に謝ったのに。恭介さんは力を全く緩めてくれない。
どうして、と思った瞬間、ふと指輪の存在を思い出した。
今の今まで完全に忘れていた。彼の目を見つめ返す。そして血の気が引いた。
いくらなんでも、そりゃ薬指に指輪が嵌っていたら、疑われたって仕方がない。
血の気が引きっぱなしになったまま、慌てて叫んだ。
「あの!もしかしてこれ、のこと、ですよね…?」
恭介さんからの返事はなかった。代わりに手首に爪がくい込む。顔を顰めたが、詳細な答えを言うまで解放してくれそうになかった。
「掃除をしてる最中に、見つけたんです、その、元カレ…」
から貰ったけど、全然深い意味なんかなくて、ただ好奇心とくだらない理由で付けてみたんです。
続くはずだった言葉は全部、恭介さんの口内に消えていった。
怒り任せの獣みたいな呼気を漏らし、彼はあたしの呼吸ごと奪う。言葉を紡ぐはずの舌が絡め取られて、本来の役割を果たさない。痛いくらいに押し付けられた唇は、彼の歯に当たって、さっきの傷が再び開いてしまった。じわりと広がる鉄の味は、どちらともつかない唾液に薄められて、あたしの顎を伝う。クリーム色の襟は多分、薄桃に染められてしまっただろう。
「はっ!やっ…恭介、さんッ…!」
必死に紡ぐ言葉すら許して貰えなかった。ちゅくりちゅくりと耳を塞ぎたくなるような音が玄関に閉じ込められて、ギリギリと締め上げていた彼の大きな手は、いつの間にか、あたしの指に絡んでいた。