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SMを詰め込んだ短編集
第17章 昔の男に貰った指輪してたら勿論彼に怒られた件!/SM
恭介さんの体ごとどさりとベッドの上へ落とされて、繋がった部分が悲鳴を上げる。背中に感じる冷たいシーツは、いつもと同じなのに、いつもと違った。
「存分に鳴け」
しゅるりとネクタイを外す彼の顔は、逆光でよく見えなかった。
見た目よりもずっと柔らかい素材のネクタイは、てっきり床にでも落とされるのかと思っていた。そうじゃなかった。覆いかぶさる彼に油断していたら、両手を高い所で纏められ、疑問に思う前に一括りにされてしまった。
「えっあのっえ?」
「もう少し色っぽい声でも出してくれると嬉しかったんだがな」
愉しそうに笑う彼は、次の瞬間、すっと目を細める。ぞくりと背中に電気が走った。
「言っておくが、許した覚えはない」
両足を抱え込まれ、入りっぱなしだったそれがずるりと抜けていく。言った意味を咀嚼するより早く、がつんと肉がぶつかる音。
「いあああっ!」
思わず仰け反って、血の気が引いた。
一括りにされたとは思っていたが、まさかベッドヘッドに括りつけられているとは夢にも思わなかった。
「いああっごめっごめんなさっああ!」
じゅぶじゅぶと水をかき回すみたいな音と、スプリングの悲鳴。きしきしと締まる手首は、そこから少しだって動かせない。
腰をがっちりと掴まれて、仰け反ることすらままならなかった。
「恭介さんっごめっゆるしっああ!」
「言え、優菜。お前は誰のものだ」
黒髪が肩の上で踊る。ネクタイを外しただけの彼は、ジャケットにひとつの皺すらなかった。仕事中とほとんど同じ格好だった。
でも、今は。
「恭介さんっ恭介さんのっ…!」
視界は滲んでいるけど、大好きな恋人の目をしっかり見て言った。
一瞬、視線が優しくなった。膝裏に両手が差し込まれて恭介さんがぐっと腰を押し付けるから、あたしの腰が持ち上がる。信じられない体勢に、繋がった部分が目の前に見えた。抗議と嬌声が交ざったおかしな声色に、彼はふっと笑った。
「そうだな…俺も、お前のものだ」
突き落とされる凶暴なそれは、手加減を忘れてしまったらしい。
ご、と聞き慣れない音に、あたしは息を詰めた。爪先にまで力が入って、息を吸る前にずるりと抜けていく。
「つっ…恭介さ、まっ…ひぁぁああ!!」
スプリングが大きくバウンドして、余韻を長引かせる。軋んだネクタイに手首が締まって、暴れるあたしを押さえつけた。
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