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愛おしいキミに極甘な林檎を
第38章 真実と愛のかたち

何度も頬を叩かれて顔色をうかがって過ごしていた子供の頃が脳裏に浮かんで唇を強く噛んだ。
懐いてなんかいない。
新しい母親に好かれたくて、愛されたくて一生懸命だった。
迎えに来てくれていれば、記憶喪失になったりするほど心が傷付いて苦しむこともなかった。
太股の上に乗せていた拳が震えるとソラ先輩が手を重ねてきて私の顔を覗いてくる。
手のひらから伝わる体温が乱れてしまいそうな心をすぅっと落ち着かせてくれた。
一緒にいてもらってよかった……。
「だけど、本当の母親じゃないことを知ってから風子には沢山つらい思いをさせたと思うの……。置いてきたことを謝っても許されないのも分かってる……。
お母さんと呼んでもらえなくても仕方ないってことも……」
「…………」
「それから風早家の跡継ぎのことで日本からの連絡を絶って海外に逃げてそこで暮らしていたわ。
元夫とは連絡も取れないようになって、引っ越しもしたようだったから風子の行方が分からなかった。
でもね、会えるチャンスがやって来て家族で意を決して日本に戻って来たのよ」
「どうして私がここにいるって分かったんですか?」

