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愛おしいキミに極甘な林檎を
第39章 キミに告げる愛

この様子だと私が乙羽家から連れ去られていってから何があったのか全く知らないようだ。
跡継ぎ問題が解決したことも話されていないように思える。
「お母さん、私は千十郎さんの家では暮らさないことにしたの。借金が嘘だったのも全部知ってるから」
ソラ先輩との付き合いを反対された事と、祖父の家で昨日起きたことを話すと母と父の顔色が曇った。
「嘘をついていたのが、ばれちゃったのね……。しかも、本当の家族にも会ったなんて……」
「血の繋がっている親と会っても、私の両親は今目の前にいるお母さんとお父さんだから」
「風子ちゃん……」
瞳を潤ませた母は鼻をすすってエプロンの裾で目元を拭いていた。
「お母さんとお父さんはね、風子ちゃんには何の苦労してもらいたくないから千十郎さんの所に送り出したのよ。
借金があるように見せかけるために、家の物を全部物置きに押し込んで、うちの山の畑に車を置いてきて……。
風子ちゃんが千十郎さんの所に行ってからとっても寂しかったわ。
でもね、それでも送り出したのは、生きていくために一番必要なお金を風子ちゃんが手に入れることができるから。お金はあって損はないの」

