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愛おしいキミに極甘な林檎を
第42章 獣欲と甘い果実



上司として一応注意をしているようだけど、他人のことを言えないのか控えめに注意をしていた。

そして言い難いのか耳が赤い。


恥ずかしく思いながらも陸田さんに嫉妬しているんだろうか。



慌てている陸田さんの背中を押して先に資料室を出て行く課長。


その後をついて行こうと足を踏み出した時、鈴川さんに肩をトントンッと叩かれた。


「こんなところに二人でいるってことは、乙羽さんは花城課長のことをやっぱり好きなんじゃないですか」



あれほど違うと言ったのに、どうしてそうなるのか呆れてしまう。


「偶然ですからそれはないです。私はただの部下です」


疑ってくる鈴川さんにきっぱりと言い切ってから、課長に貸してもらったジャケットを腕にかけて歩き出した。



「隠さないで好きなら好きって言えばいいじゃないですか!」



「……言っておきますけど、私には婚約者がいますから」


振り向かずに答えると背後から聞こえていた足音が止まった。


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