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愛おしいキミに極甘な林檎を
第42章 獣欲と甘い果実



一緒に生涯独身コースを走っていた陸田さんがいなくなって寂しいかと思ったけど、課長は口角を上げて柔らかな笑みを浮かべていた。


開けていた窓から入ってきた優しい風が課長の短い髪を撫でる。



「実家を出て一人暮らしをすることにしたんだ」


「一人暮らしですか」


「全部自分でできるようになりたいと思ってな。家族に甘えずに自分を鍛え直そうと思う」


前向きに話す姿に目を奪われた私の手はまだ止まったままだった。



「だから今度遊びに来てオレに料理を教えて欲しい。相手に求めているばかりではダメだと思ってな」


元カノと別れるきっかけになった食事のことか……。


変わろうとしている課長が輝いて見えて私も自然と笑みがこぼれた。



「いいですよ」


「本当か!?料理のことは全く分からないから助かる」


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