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愛おしいキミに極甘な林檎を
第42章 獣欲と甘い果実

課長の言った通り、台所の棚は空っぽでリビングの床の上にも布団しかない状態だった。
今まで引っ越しを手伝ったことがあるから見慣れている。懐かしい光景だ。
料理をするためにトートバッグからエプロン出してつけると課長から強い視線を注がれて緊張する。
「花城さん、エプロン姿の風子さんに見惚れていないでさっさと料理を始めますよ。風子さんが可愛いのは分かってますから」
「すまない……。乙羽のエプロン姿を初めて見たもので」
「とっ、とりあえずミートパスタとスープとサラダでも作ってみましょうか」
台所に立って課長に指示をしながら作り方を教えていく。
料理をしたのは高校生の調理実習が最後だったらしい。
おぼつかない手つきで料理している姿を隣で見ているとソラ先輩に初めて料理を教えた時を思い出す。
「乙羽……?どうした」

