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愛おしいキミに極甘な林檎を
第42章 獣欲と甘い果実

「すみません……。玉ねぎのにおいで涙が出てきただけです」
普段玉ねぎを切っていてもここまで涙が出ないから、課長に言われて自分が泣いていることに気づいた。
でもただ涙が出るだけでなく胸も苦しい……。
「…………。玉ねぎにやられた風子さんは休んでいてください。代わりに僕が花城さんを手伝います」
大人しく従うと、少し離れたところにいた監視役の理人さんがやって来て私の代わりに教えていた。
リビングに行ってからしばらく経つと涙が落ち着いてきた。
気持ちに余裕ができたところで、料理がちゃんと進んでいるか台所の方に耳を澄ます。
「これでいいのか……?」
「ええ。大体の物はフライパンに油を敷いて焼けばいいんです。切った野菜と肉を焼いて、こしょうや焼肉のタレをかけておけばなんとかなりますから」
いつも私より手の込んだ料理を作っているくせに、私たちの目の前では作ることがない簡単レシピまで教えている。
「野菜サラダにはこのサラダ油という物をかければいいのか?」

