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愛おしいキミに極甘な林檎を
第42章 獣欲と甘い果実

「違います。今回はこちらのオリーブオイルです。サラダと相性がいいんですよ」
料理に没頭する二人の会話を聞いていたらなんだか笑えてきて、いつもの調子が戻ってきた。
無事に昼ご飯が完成して三人で食べる。
細かいことに厳しい理人さんが教えただけあって茹ですぎていないし、焦げ目すらなく綺麗に出来上がっていて感心する。
味も完璧で最初の料理にしては文句のつけ所のない出来だった。
「ありがとう、瀬戸内くんと乙羽。大体分かったし、これで今晩から作っていけそうだ」
「自炊を頑張ってくださいね、課長。レパートリーが増えると楽しくなってきますよ!
お菓子作りも完成した時に作って良かったって思えるのでおすすめです」
「楽しいのか……。乙羽はどうしてそんなに料理が好きなんだ?」
「それは……、私が作ったもので大好きな人の笑顔が見れるからです。喜んでもらえると次に作る料理も頑張りたくなるんですよ」
「きっとそう思えるということは、乙羽の料理を幸せそうに食べてくれているからなんだろうな」
ご飯を食べている時にいつも見せてくれた笑顔が脳裏を過る。
玉ねぎの匂いはないのにまた目が潤んできた。
でも私は笑顔で答える。
「はい……。美味しいっていつも褒めてくれますから」

