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愛おしいキミに極甘な林檎を
第42章 獣欲と甘い果実

それから家に帰るとまた寂しい夜が続いた。
晩御飯を食べた後、ぼーっとしてテレビを見ているとインターホンが鳴る。
両親は出歩かない時間帯だから来る人は一人しかいない。
「こんな時間にどうしたんですか、理人さん。家出とか言わないですよね?」
「違います。今日もお届け物に来たんです」
「いつもの理人宅急便ですか。ありがとうございます。遅くまでお疲れ様です」
ひとりで過ごすようになってからもう一つの家族の方が心配してこうやって私に食べ物を送ってくる。
離れて暮らしていてもこうして思ってもらえているのが嬉しい……。
「勝手に名前をつけないでください。今日は千十郎様のお知り合いの方がいらっしゃってりんごをいただいたんです。
どうやらりんごを作っている農家の方で毎年たくさんくださるみたいなんですよ。……重いのでここに置きます」
理人さんは両手で持っていたダンボールを玄関の上に置いた。
重たそうな音がするから中を覗いてみると、見た感じ数えきれないほどの赤いりんごが入っていた。
「わあー!こんなにたくさんありがとうございます」
「お礼は千十郎様に言ってください。風子さんのことを心配なされているんですから」

