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愛おしいキミに極甘な林檎を
第45章 親と過去

ソラ先輩のお母さんはキッチンのカウンターにもたれて、片手に持っているマグカップの中を悲しげな目で見つめていた。
でも顔を上げて私の方を見た時、負の感情を隠すようにすぐににっこりと笑う。
「それが分かってから塑羅緒にはしたいようにさせてきたし、これからも自分の進みたい道に進んでもらいたいって私と夫は思ってる。結婚することだって反対なんかしない」
小学生の頃に親から離れて母方の祖父母のところで暮らしたのも、大学生の頃に広い部屋にひとりで残って住んでいたのも自分で選んだからだったんだ……。
父方の祖父母からそこまでして逃げるんだから相当つらい出来事があったんだろう。
いつも私を幸せにしようと頑張ってくれて、笑ってくれるけどたくさん傷ついている……。
優しいのに冷酷な目をする時があるのも、幼い頃に受けた傷があるからなのかな……。
「もちろん結婚を反対しているお義母さんとお義父さんの味方もしない。でもあなたたちを助けるつもりもないから」
「えっ……」

