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愛おしいキミに極甘な林檎を
第45章 親と過去

「気のせいですよ」
少しは馴染んだところを見て驚いてもらいたいから、昨晩ソラ先輩のお母さんと話したことは黙っておこう。
起きてから和やかな時を過ごしたのも束の間。
朝ご飯を食べにリビングに行くとソラ先輩のお祖母ちゃんに会ってまた緊張感に包まれる。
一言挨拶をしてからご飯を食べるものの、時より険しい表情で視線を向けられていた。
ご飯は野菜も豊富の料理で美味しいのに、行儀よくしないといけない気がしていつものように箸が進まなかった。
でもソラ先輩が気を使って常に側にいてくれるから心強い。
空気を読みながら朝食を終えて部屋に戻る時、先に席を立ったソラ先輩のお祖母ちゃんがいた。
低い棚に置いてある漆塗りの小箱を取りづらそうにしていたから、すぐに駆け寄って代わりに屈んで取って渡す。
「どうぞ」
「指紋がついたりしたらどうするの。こう言う物はハンカチで取るのよ」
「すっ、すみません……」
「まったく。教えがなってないのが丸見えね。この前お見合いを申し出てくれたご息女さんの方が余程できていたわ。
塑羅くん、このくらいの常識ができない人との付き合いは考え直した方がいいんじゃないの?」
「……そうですね」

