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愛おしいキミに極甘な林檎を
第45章 親と過去

頭に血が上っていたお婆さんの顔を見るとその瞳からなんとなく寂しさが伝わってきた。
きっと孫を大切に思っているからこそここまで口煩く言うんだろう。なんだかうちの祖父を見ているようだった。
「あの……、お婆さんの言うとおり私には至らない点がたくさんあります。ですから不備な点がありましたら直す努力をしたいのでなんでも先程のように指摘してください」
本当は余計な口を挟むのは怖い。
でも結婚するなら必ず関わらないといけない人だから一歩を踏み出す。
勇気を出して伝えた言葉を聞いたお婆さんはほんの少しだけ張り詰めていた表情が緩めた気がした。
「はぁー……、どれだけ指摘しないといけないか分からないわね。諦めてもらった方が早いわ」
呆れたように言った後、お婆さんは他の部屋へと歩いて行った。
まだ認めてもらえてない。
でもこれからお婆さんに少しでも近づける切符は手に入れられたと思う。
結婚するため、ソラ先輩のためにも頑張らないと……。

