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愛おしいキミに極甘な林檎を
第45章 親と過去

最初は泊まることにあまり乗り気じゃなかった。
でも一晩だけ一緒に過ごしてみてソラ先輩の家族の温かさに触れることができて楽しかった。
お爺さんとお婆さんにはちゃんと認めてもらえるか分からないけど、上手く付き合っていけそうな気はしている。
ソラ先輩の実家を後にして雲一つなく晴れた空を見上げてから、清々しい気持ちのまま知らない土地を歩く。
今日はこれから東京を観光して帰る予定だ。
「結局、お爺さんには会わせてくれないんですね」
「聞いてみたけど今日は忙しいから会えないって。急がなくとも年末に行けば会えるから」
「それまでに今度こそ失礼がないように色んなマナーを身につけておかないといけませんね。私、頑張ります」
「十分できていると思うよ。お婆様が求めすぎなだけだから」
「いえ、例えば東京での電車の乗り方が全く分かりませんし。どの電車に乗ればどこに行けるのかでさえ理解してませんよ。
改札でカードをかざしてソラ先輩について行くことで精一杯です」
「それは俺も調べないと分からないな。実家に行けるルートしか覚えてないし。
とにかく変に礼儀正しくする必要はないし、風子はそのままでいいんだよ」

