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愛おしいキミに極甘な林檎を
第45章 親と過去

「そうですけど……。ありがとうございます……」
両手を出して缶を受け取ると手のひらにじんわりと温かさが広がる。
お礼を言った時に颯太を見上げると冷たい秋風にあたって寒いのか耳が赤くなっているように見えた。
プルタブを開けてミルクティーを一口飲んで、もう一度颯太のことを見ても何も言ってこない。
「えっと……、それで本題は……」
「おまえがどんどん綺麗になるからなかなか話せないんだよ!これでも緊張してるんだ!」
「私のせいですか!?付き合っていた時は緊張なんてしなかったでしょ」
「あの時はあの時だ。今はおまえを見るたびに上がって上手く話せねえんだよ」
話していてもどこか合わない目線。
別れてから気まずいのはお互い様だろうけど、最近何度か会うことはあったからそこまで緊張する必要はないはずだ。
じっと見ていてもまた口をつむぐから私の方から話題を振ることにした。
「……どうしてソラ先輩の病気が大病だって嘘をついたんですか?余命なんて宣告されていないって言ってましたよ」

