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愛おしいキミに極甘な林檎を
第45章 親と過去

「大切な人がいなくなってからでは遅いってことを、な」
「えっ……?」
ぶっきらぼうではなく、少し柔らかめな口調でそう言われてからようやく目が合う。
ここまで真っ直ぐ合ったことは過去にあったのか、今では思い出せない。
でも目が合ったのはほんの少しの間で、颯太はすぐに私の方から視線を逸らして逃げて眉を下げて笑った。
「その様子じゃ分かっているようだから必要なかったか……。
せっかく那砂さんに相談して、いい薬になるだろうからと話を合わせてもらっていたんだけどな」
「まあ……、実際にそうなってみないと気付けないこともたくさんあります」
「そうだよな……。風子と付き合っていた頃のオレは馬鹿だったから気付けなかった」

