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愛おしいキミに極甘な林檎を
第46章 主従関係

「えっ……!?そんなことないから……。とりあえずお菓子を召し上がって。今回はドライフルーツを入れて作ってみたの」
ソラ先輩のことは苗字と名前から取った愛称で呼んでいたから、今更名前で呼ぶのがなんだか照れくさい。
特別な夜にたった一度だけ、名前で呼んだことはあるけど……。
それ以来は言っていない。
記憶をなくす前の私は“先輩”をつけて呼んでいなかったみたいだけど、ソラ先輩はもう一度そう呼んで欲しいのかな……。
「風子の作るお菓子はいつも美味しいね。ちょうどいい甘さで優しい味がする」
「いつも褒めてくれてありがとうござ…、ありがとう。そう言ってもらえると作り甲斐があるなぁ」
無意識に敬語を使ってしまいそうになり、危ないところが棒読みになる。
その不自然さを誤魔化すためにすぐにティーカップを持って紅茶を飲んだ。
「またお菓子を作ってくれる?」

